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産業医なら知っておくべき「改正労働安全衛生法」について

2017.09.28

産業医の業務を見直す「改正労働安全衛生法」

去る平成29年6月、産業医の位置づけや役割などの見直しを目的に、「労働安全衛生規則等」の一部が改正されました。

その背景には、社会や会社組織、仕事内容の変化に伴い、産業医の業務が怪我や有害物質による健康障害への対応のみならず、長時間労働やストレスによる過労死やメンタルヘルス対策にまで及んでいるという経緯があります。
平成27年12月には「ストレスチェック制度」も導入され、長時間労働者、高ストレス者に対しての面接指導が産業医の職務に追加されるなど、対応すべき業務は増加しています。

このような中、産業保健現場のニーズを踏まえつつ、産業医制度に係る省令改正が行われることとなったのです。

「改正労働安全衛生法」で産業医の業務はどう変わった

今回の改正点は3点で、内容は以下の通りです。

  • 「産業医の定期巡視の頻度の見直し」
  • 《以前》・・・今までは、少なくとも月に1回行うこととされていた作業場等の巡視

    《改正後》・・・事業者から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供され、事業者の同意がある場合には、作業場等へ少なくとも2月に1回とすることが可能になります。

  • 「健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供」
  • 《以前》・・・健康診断の結果、もし労働者に異常が見つかった場合、事業者はその者の健康を改善するために必要な措置について、医師等(産業医を含む)からの意見を聞くことができる

    《改正後》・・・事業者は、異常が見つかった労働者への意見を聞く時に、労働者の業務に関する必要な情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければいけません。これにより、医師はよりよいアドバイスを提供することが可能になります。

  • 「長時間労働者に関する情報の産業医への提供」
  • 《以前》・・・1週間あたり40時間以上の労働、さらに時間が100時間を超える労働者が面接を申し出た場合、事業者は医師による面接指導を受けることができる

    《改正後》・・・事業者は、1週間あたり40時間を超え、さらに労働時間が100時間を超える者があった場合、その氏名および、労働時間に関する情報を産業医に提供しなければなりません。その際、産業医は本人の申告の有無に関係なく、労働者に面接をすすめることができます。

また、医師は、一定条件にあてはまる長時間労働者、または高ストレス者に対して面接指導を実施し、その結果を報告書にまとめると同時に、労働者が就業上の適切な措置を受けられるよう、事業者に意見を述べることになっています。なお、厚生労働省は面接指導を行う際のマニュアル、結果報告書などの参考資料を提供しています。

厚生労働省の産業医業務マニュアル各種

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参考:厚生労働省-産業医制度に係る見直し