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プライマリケアと総合診療医の需要の高まり、医者のキャリアに良い?

2018.02.06

世の中の変化が必要とする「総合診療医」

「総合診療医」とは、ケガや打ち身といった身近な傷害を含め、臓器や特定の疾患に関係なく、幅広い病気の患者を診療する能力を持つ医師のことです。医師が、症状はもとより、心理的、社会的な面からも患者を診察し、そのまま診療を続けるか、または必要に応じて専門医への橋渡しをする「プライマリケア」を行います。

総合診療医が求められ、新たに総合診療専門研修プログラムがスタートしましたが、その背景には、様ざまな理由があります。まずひとつは高齢者の増加です。高齢者は糖尿病といった生活習慣病、あるいは慢性疾患を複数患っているケースが多く、今までの専門医別診療では対応しにくいのです。そのため、特定の病気などに対しての深い知識のみではなく、総合的に診療できることが求められています。

また、医師の数が少ない地域や僻地医療の現場においては、多様な疾病への対処が少数の医師に求められます。そのため、地域住民の健康を考えた予防医学ほか、分野や領域を問わない診療が求められることも、総合診療医の需要が高まっている理由といえます。

「総合診療医」に求められる能力と人物像

高齢者医療、地域医療(僻地医療)の現場で期待されている総合診療医には、どのような能力が求められているのでしょうか?

まず、総合診療医は、様ざまな疾患への対応、慢性的な病気を患っている人(高年齢中心)に対しての多角的な診療といった「プライマリケア」への適性や能力が必要です。プライマリケアを行うにあたって、医師は広範囲にわたる論文を当たり、日頃からの勉強は必要でしょう。もちろん、専攻にかかわらず、医師にとって学びは大切ですが、特に総合診療医は知的好奇心を忘れず、あらゆる分野の勉強を厭わない姿勢が大切だといえます。

もうひとつは「患者さんとのコミュニケーション能力」です。これは、科目問わずに医師に対し、言えることでもありますが、総合診療医の元には、高齢者患者、慢性疾患を抱えている人が多く来院します。何度も顔を合せて、直接話を聞くのが苦手だという医師に総合診療医は難しいかもしれません。患者の症状、健康状態をコミュニケーションよって把握がしやすいからです。また、患者のニーズを聞き出したり、特定の疾患に対して他の医師の協力を仰ぐこともあるでしょう。その際にやはり、コミュニケーションを取らなければ難しいといえます。

さらに、日本専門医機構「総合診療専門医に関する委員会」が発表した報告書(一般社団法人日本専門医機構「総合診療専門医 専門研修カリキュラム」http://www.japan-senmon-i.jp/)の中には、総合診療専門医が獲得すべき6つのコアコンピテンシー(※コンピテンシー:特定の目的の達成、ある職務に必要とされる知識や技能や価値観などをまとめた特性)は、「人間中心の医療・ケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」「地域志向アプローチ」「公益に資する職業規範」「診療の場の多様性」であると提示されています。

キャリアの選択肢として「総合診療医」を考える

2017年11月、総合診療専門研修プログラムの一次登録応募者は、19の基本領域で合計7989人。総合診療科は158人で全体の約2%にとどまっており、需要はあるものの、希望者はまだ少ない状況にあるといえます。

未知の分野ではありますが、医者のキャリアを考える上で、様ざまなチャレンジが可能な総合診療医を検討してみはいかがでしょうか。医者のキャリア、転職についてお悩みであればアイディー・サポートにいつでもご相談ください。

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